こんばんは、西橋です。
私が対人恐怖症を克服した中で、一つのきっかけになったある人からの名言とも言える言葉を紹介します。
「克己」
これは「己に克つ」ということで、「自分の私情や欲望に打ち勝つ」という意味の言葉です。
私が専門学校に入学する前の春期講習に参加した際にたまたま出会った人から教えられた言葉でした。
当時の私は、高校時代の場面緘黙症の影響からなかなか人と話すことができない状態でしたが、なんとか変えようと祖父に宣言までして自分を追い込んでいました。
しかし、現実は厳しいもので実際に人と話すような場面になると怖くて仕方なくて、やっぱり一人でじっとしていました。近くのコンビニにお昼ご飯を買いに行くことすら困難な状態でした。
私が参加した当時の専門学校の春期講習は、女子高生の参加者が多くて男子は私を含めて三人だけでした。
授業中はまだマシでしたが、休憩時間などはみんなが楽しそうに話している中で一人。
惨めな気分でした。
そんなとき、近くの席にいた男子が話しかけてくれたのです。
そして、勇気を振り絞って受け答えをしたところ、同級生だということが分かりました。
その状況を見たもう一人の男子も私に声を掛けてくれるようになって、一緒に話をする仲になりました。
私は内心「友達ができた」と本当に嬉しい気持ちになったことを覚えています。
でも、それも束の間、二人が私の異変に気付き始めました。
当時の私は劣等感の塊で、自分の見た目が非常に醜いと感じており、また話は面白くないし、かかわると迷惑を掛けてしまうと思っていましたので、仕草や行動が変になっていたのだと思います。
次第に、私だけがその二人から取り残されるようになり、勉強ができた私は勉強を教えて欲しいときだけ話をしてもらえるという状態になりました。
「友達になれたと思っていたのにやっぱり釣り合わないんだな…」
本当にショックで落ち込みました。
そんな私に対して、
「違う世界に住んでいるから、早く俺たちがいる世界に上がって来いよ。」
と言ってきたりと、明らかに上から目線でダメなヤツを良くしてやろうとする接し方に変わりました。
私に自信を付けさせようと、ワックスを持ってきて髪の毛をいじって女子に評価を聞いてくれたり、服装へのアドバイスをしてくれたり…
嬉しいような…
でも、これじゃまた高校のときと同じだ…
と思ったりと複雑な気持ちでした。
そして、春期講習が終わりを迎える頃、テキストの一番後ろの見開き白紙のページ全面を使って大きな字で
「克己」
という文字、日付、氏名を書くようにと言われてその通りに書きました。
「克己というのは己に克つという意味や。この言葉は俺のポリシーやから、お前もこれにしたがって頑張れ!」
と励ましてくれました。
そのおかげで、専門学校に入学した当初、一時的に同級生に話しかけることができ、勉強へのモチベーションも保つことができました。
正直、当時の私には「己に克つ」なんて不可能でしたし、その意味すら理解できない状態でした。
でも、「克己」という言葉をくれた人との出会いは、何物にも代えられないほどの勇気をくれたことに違いありません。
本当に感謝しています。
世の中には、良い言葉、名言は溢れています。
それらすべてが素晴らしい言葉であることは間違いありませんが、人それぞれに名言になる言葉は違います。
名言とともに出会う人
克服するために多くの人にキッカケを与えていただいたなと実感しています。
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