思い込みが激しく視野が狭い状態を直したい方へ
今回は、最近のカウンセリングでとくに感じることが多い、対人恐怖症で悩んでいる人の『考え方における視野の狭さ』を改善するノウハウをお伝えします。
対人恐怖症になってしまうと自分の考えに固執して視野を狭めてしまう傾向が強くあります。
その結果、
「挨拶を返してくれなかったから嫌われているに違いない」
「相手が視線を逸らしたから自分の視線がおかしいに違いない」
「隣の席の人がソワソワしだしたのは自分の脇見のせいだ」
「沈黙の時間ができてしまったのは自分の話が面白くないせいだ」
「道行く人が自分のことをダメなやつだと見てるに違いない」
といった感じのことを頭ではありえないとわかっていながら、どうしても考えてしまう状態になるのです。
日々こういうことばかり考えて過ごしていると、他に考えるべき「自分がどう思ったか、どう感じたか」「自分がどうしたいか、何をしたくないか」が考えられなくなって、気付いたら自分が何を考えているかすらわからなくなってしまいます。
そして、自分が何を考えているかわからないのに日々を過ごすという不思議な状態になるのです。
人は本来、自分が快いと感じることを中心に自分の欲求を満たすために生きています。
しかし、対人恐怖症の状態になるとここから目を逸らしてしまうため、考える必要がないはずの「相手がどう思うか、どう見られるか」ばかり気にして自分の欲求を押し殺すようになります。
押し殺すことによって異常なストレスがかかり、脳にダメージを与えることにもなりますので、余計に不安や恐怖を感じやすくなり、さらに「相手がどう思うか、どう見られるか」を気にする悪循環に陥ってしまうのです。
すでにこの段階で自力での克服が非常に難しい状態になっているのですが、視野が狭まっているせいで自力で克服できるのではという考えを抱きます。
そして、自分で対人恐怖症のことをよく調べたり、自分なりの方法で何年も克服しようとして余計に自分の狭い考え方に固執して克服できなくなってしまうケースは多いです。
何年も自分の考えに固執して間違った方法で頑張ってこられた方は、非常に視野が狭い状態になっているため、カウンセリングを受けても無意識に自分の考えで捻じ曲げて解釈してしまうのでなかなか効果が出せません。
ですので、間違った方法を繰り返してしまう前にカウンセリングを受けていただきたいのですが、対人恐怖症で悩んでいる時点ですでに考えの視野が狭くなっているのでまずそこを緩和することが必要かと思います。
その方法の一つとして、ルーティン化した生活に変化を与えることがあります。
- 毎日の通勤経路を少しだけ変えてみる
- 駅でいつもエスカレーターに乗っているなら階段に変えてみる
- スマートフォンを操作する手を右手から左手に変えてみる
など、細かいことでかまいません。
何かしら日々の習慣に変化を付けていくことによって狭い視野から抜け出しやすくなります。
相手と自分を入れ替えて考えてみる
例えば、友達に何か自分の意見を言った翌日にたまたま挨拶を返してくれなかったという出来事があったとします。
すると、その挨拶をしてくれなかったという出来事から、
「昨日あんなこと言ったから嫌われたんだ。」
と事実かどうか分からないままに勝手な結論を出して苦しみます。
確かに挨拶をしてくれなかったことは事実です。
でも、嫌われたのかどうかまでは分からないですよね?
こういう思考になってしまうときは、
自分と相手の立場を入れ替えて
「もし自分と同じことをする人がいたら自分ならどう思うだろう?」
と考えてみてください。
そう言われたらあなたも絶対にその人を嫌うのでしょうか?
「挨拶を返してくれなかった」という出来事。
その原因は、もしかすると昨日の発言にあるのかもしれません。
でも、原因はその1つだけしかないのでしょうか?
ただ聞こえてなかっただけかもしれません。
相手の体調が悪くて頭がぼーっとしていたのかもしれません。
考え事をしていて気付かなかっただけかもしれません。
そういうことがいくつか重なり合って起こったのかもしれません。
「答えは一つではないのです。」
勝手に解釈して悪い方に思い込んでしまうときがあれば、自分と相手を入れ替えて考えてみてくださいね。
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